現役の保険営業マンが教える10年後に後悔しない保険の選び方

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日々FPとして多くの保険のご相談をお客様から頂くのですが、ほとんどのお客様が今入っている保険が良いものなのか、それとも悪いものなのか分かっていないまま、何年も見直しをされずに入っておられます。

さて皆さんは日本の保険料金の平均がどの程度か知っていますか?正解は年間あたり男性20.6万円・女性16.0万円、1世帯あたりは37.1万円という非常に高額な金額となります。※生命保険文化センター調べ

これだけ高額な保険料を支払っているにも関わらず、ほとんどの方は今自分が入っている保険について毎月かかっている金額以外の事をほとんど分かっておられません。

冷静に考えていただきたいのですが、これは異常な事です。例えば1世帯あたり37万円というと、6年支払うとそれだけ200万円以上の出費になります。200万円の買い物をするときに値段以外のことが良くわからないまま購入する。という事が本当にありえるでしょうか。

もし、旦那様が「200万円の車買ってきたよ〜」と言って、どんな車?と聞いた後に「確かトヨタの車で加速が気持ちいやつだけど、あと詳しいことはわからない」と言われたら、普通は喧嘩になるのではないでしょうか。

しかし保険に関して言えば、この状態が何故かデフォルトになってしまっているので、不思議なものです。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、今回は10年後に後悔しない保険の選び方、考え方について、私なりに解説します。

そもそも保険が必要かどうか

”保険”と一口に言っても、いろんな種類があります。まず大きく分けて「損害保険」「生命保険」の2つに分かれるのですが、今回は私の専門である「生命保険」について取り上げていきます。

1)死亡保険・・・死んだら家族に支払いされるもの

2)医療保険・・・病気になって条件を満たせば自分が受け取れるもの

まず、主な生命保険の種類は上記の2つになります。みなさんが生命保険と聞いてイメージするのはこの中でいうと1の死亡保険ではないでしょうか。

この2つの保険の入り方で絶対の正解はないのですが、基本的な判断の軸というのは存在します。

例えば、25歳の男性で彼女はいるがまだ結婚も子供もいないようなケースで考えてみると、その方がもし死んでしまった場合、誰かに金銭的な負担をかけてしまう事は通常ありません。その為、そういった方が死亡保証をかける意味は非常に薄いと言えます。※その方がご両親を扶養されているとか、ご兄弟の面倒を見ているなどの事情があれば別です。

ですが、死亡保証ではなく医療保険の必要性を考えてみると、一考の余地があります。医療保険というのは病気や怪我をして、条件を満たせば自分で受け取れる保険です。病気や怪我になって仕事を休む必要があったりすると収入が減少しますから、それを補うという目的の為であれば予算の範囲内で検討しても良いと思います。

ただし、ここにも加入前に考えなければいけないことがあります。それは「国の制度」をある程度計算に入れておくという点です。

例えば貴方が骨折をしてしまい、2ヶ月入院しその間仕事を休んだとします。その際ですが、仮に治療代が月当たり50万円、お給料が月に30万円だったとします。そうなると単純な被害額というのは、160万円(治療代金50万円✖️2月分➕お給料30万円✖️2ヶ月分)になると思いますが、実際はそこまでのお金はかかりません。

最近はご存知の方も多くなりましたが、日本には健康保険制度というものがあり、その中に「高額療養費制度」というものがあります。仔細は省きますが、その制度を利用すれば基本的に一月あたり10万円以上かかった治療費用は後から国から返してくれます。

そして、仕事を休んだ場合については「傷病手当」という制度があるので、お給料の3分2相当についても国から後で帰ってきます。※個人事業主の方に傷病手当はありません。

この2つを利用すれば、かなりざっくり計算になりますが、160万円ではなく、40万円程(治療代10万円✖️2月分➕お給料12万円✖️2月分)の損失に抑えられます。今でこそ有名になったこの2つの制度ですが、昔からあった制度なのにも関わらず何故か知名度は高くなかったので、ほとんどの方が160万円の方にフォーカスを当てて保険を組み立てているケースが多くありました。

160万円の損失に備えるのか、それとも40万円ほどの損失に備えるのかで比べた場合、前者の想定の方がより多くの保険料がかかるのはいうまでもありませんし、そもそも40万円ぐらいの損失で済むなら保険は不要でその分貯金で備えると考える方がいてもおかしくはありません。

では、保険に入る意味は?

前述したように日本という国には立派な制度があるから保険にお金をかけるのはコスパが悪いからやめておけ。という主張の方が最近特に増えてきたように思います。

そう言った方の意見の全てを否定するつもりはありません。ですが、あまりにも0か100で考えすぎていると感じます。

そもそも40万円というお金はほとんどの方にとっては大金ですし、この数字はただの例であり、病気や怪我の種類や程度によってはもっとお金がかかりますが、大丈夫ですか?

高額療養費制度は差額ベッドや食事やクリーニングなど、健康保険適用の治療以外にかかるお金は一切適用できないですが大丈夫ですか?

ガンの一部の治療の中には健康保険適用外のものがあり、そうなると当然高額療養費制度も対象外となりますが、そういった治療を選択する可能性が今後ないと言い切れますか?

傷病手当で保証されるのは簡単にいうと基本給の部分なのでボーナスなどは含まれませんから人によっては3分の2以下になりますし、最大でも保証期間は1.5年間が限度ですが、大丈夫ですか?

このように国の制度があるからといって、それを100%頼りにしてしまうのも、色々と問題が出てくるわけです。しかも日本はこれから皆さんご存知の通り「超高齢化社会」を迎えることになります。あと30年もしたら全体の人口のうち65歳以降が半分ほどになります。そうなった時に今の社会保証制度がそのままの形で残っていると考える方が不自然ではないでしょうか。

以上を踏まえた上での私のおすすめの考えは、国の制度を考慮した上で、必要な分の保険だけかけていくという事です。なんだか説得力があってインパクトの強い事を言いたかったのですが、結局は平凡なセリフになってしまった事をお許しください。

ですが、この「国の制度を考慮した上で、必要な分の保険だけかけていく」という事が出来ている方が本当に少ないのです。データを取ったわけではないので、あくまで私の体感上の事ですが、100人のお客様と話したら2〜3人いれば良い方だと思います。国の制度を理解していない方も多いですし、何よりそれよりも多いのが自分の保険がどういった保険かも理解していない方が非常に多いのです。

では、どんな保険に入れば後悔がないの?

自分自身でいろんな保険会社の資料を取り寄せたり、ネットで勉強することで最適な保険商品を自分で組み立てていこうとされる方がいたとして、そういった方を否定したいわけではないのですが、効率が悪いので私はあまりおすすめしません。

何故なら、「これに入っておけばこれからも大丈夫」という保険は世の中に存在しないからです。

保険はその方の「年齢」「家族構成」「年収」「勤務形態」「持病歴」「考え方」「過去の経験」によっても正解が変わりますし、世の中の「社会情勢」「国の制度」によっても正解が変わります。学校の勉強のように何かの法則を元に公式が決まっているわけではないのです。

分かりやすい例で言うと20年前ぐらいの医療保険は「長期の入院」のリスクに備えるためのものが多く存在していました。その為、その時代に販売されていた医療保険というのは、「長期の入院」になった場合に大きくお金を受け取れるものであり、逆に「短期の入院」の場合は受け取りずらいような商品内容のものが多かったのです。

ただ、今となっては入院は短期が当たり前の時代となり、昔のような長期入院になった時に多くのお金が受け取れる保険は時代にマッチしないとして、切り替えや乗り換えが進んでいます。

このように、同じ保険でも世の中の事情が変わるだけで必要性が薄くなってしまう(=価値が少なくなる)という現象が起きてしまいます。

その他にも、同じ年齢の50歳男性が2人いたとして、最初の1人を仮にAさん、もう一方をBさんとします。Aさんには小さい子供がおり、Bさんには子供がいない。となった場合、Aさんには子供のための大きな死亡保証がおすすめになりますし、Bさんの方には自分を守るための医療保障やがん保険などをおすすめする可能性が高くなります。

そして、Aさんが子供の為に大きめの死亡保証に入ったとして、その後に子供が独立したとしたら、その死亡保険の価値は無くなるのではないでしょうか?

このように、その方にとっての必要な保険というのは、その方の状況や世の中の状況によってかなり変わってきます。

その為、自分で勉強して最適な保険を。と考えるよりも常にそういった情報にアンテナを貼っているプロに定期的に相談した方が合理的と言えると思います。

結論として、保険加入や保険の検討において最も大事な事は以下3点です。

・これから自分に起こる可能性の高いリスクを把握すること

・実際になった場合にどの程度のお金が必要なのか把握すること

・上記に際して国からの社会保障制度はどのようなものがあるか把握すること

上記3点をまずは、確認することだと思います。そして足りない部分(不安な部分)”だけ”をうまく保険でカバーすると言うことが大事です。

どの会社の保険がおすすめですか?

皆さんは携帯キャリアはどこを使っていますか?私は最近楽天モバイルに変えたんですが、以前までドコモを使っていました。本当にただなんとなくドコモを使っていただけなのでドコモにこだわっていたわけではありません。

楽天モバイルに変える前は、散々「繋がらない」とか「不安定」とか聞かされてましたので、少し不安でしたが、変えてみるとそういった不安な事はこの3ヶ月ほとんど起きていません。使い勝手も変わりませんので単純に料金が下がっただけです。

で、見出しの件に戻りますが、この質問も非常によくいただきます。これは先ほどの携帯キャリアと同じような事だと思います。誤解を恐れずに言うと「保険会社」ごとに大きな違いはない。と覚えておいてください。少なくても、「突き抜けてめっちゃいい会社」もないですし「突き抜けてめっちゃ悪い会社」も私がいる限りありません。

保険商品というのは「金融庁」が管轄しているのですが、新しい商品を出す場合金融庁の審査を通過しなければいけません。その為、「周りと比べてめっちゃ安い保険を作る」とか「周りと比べて同じ料金でも明らかに保証が良い保険を作る」とかはできません。ドコモと楽天の例と同じように、細かい違いはあれば大きな違いはそこまでないのです。

あるとすれば、A社は糖尿病なら入れないがB社なら入りやすい。とか、A社はB社のと比べて数百円安いが、その代わり特定の特約がつけられない。等の違いであることがほとんどです。

保険会社選びがどうでもいいとは言いません。その細かな違いが場合によっては大きな違いになる事を知っています。ただ保険会社選びよりも大事な事は、前述した3つのポイントを把握した上で、今の自分はどういった保険を備えるべきかを理解する事が一丁目一番地だと思います。

その上で、保険会社選びを信頼のおける担当さんと一緒に行っていただくのが、一番後悔のない保険の選び方だと思います。しかし、一度入れば一生涯その保険でOKみたいな商品はありませんので、できれば5年に一度もしくはライフステージが変わるタイミングでの定期的な見直しも入る際にセットで考慮ください。

まとめ

いかがだったでしょうか。保険の入り方や見直しのやり方に絶対的な正解はありませんので、上記に書いたことはあくまで15年以上保険の営業を行ってきた私の一つの考えにすぎません。

ただ、なんの指針や軸もないまま保険の営業担当の方のおすすめのままに入られている方が多いと感じたので、そういった方の次回の見直しの参考になれば幸いです。

ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。

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